Vol.11 |
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下げ止まりが鮮明に-H17年地価公示
3月23日、国土交通省から「平成17年地価公示」が発表されました。景気の回復を背景に、大都市圏では下げ止まりや底打ち感が鮮明になり、これらが地方都市へと波及する兆しも窺える内容でした。全国平均では、住宅地・前年比▲4.6%、商業地・同▲5.6%と14年連続で下落が続いたことになりましたが、住宅地で2年連続、商業地で3年連続して下落率は縮小し、バブル経済崩壊とともに下落する一途を辿っていた地価は、徐々に持ち直す動きに変わってきたと評価できそうです。(図表1)
| 図表1:住宅地と商業地の地価動向 |
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| 出所:国土交通省 |
■公示地価とは?
公示地価は、毎年、国(国土交通省)が公表する1月1日時点の土地価格のことで、一般の土地の取引価格に対し指標を与えるとともに、公共用地の取得、国土利用計画法に基づく土地取引価格の判断基準になっています。H17年調査では、全国31,230地点を標準地に選定し、不動産鑑定士2,680人によって鑑定評価がなされました。
■H17調査の注目点
それでは、H17年調査の注目点を、以下にご説明させていただきます。
(東京23区の住宅地は『上昇・横ばい・ほぼ横ばい』の地点が全体の79%に) 最も先行する動きを示す首都圏、なかでも東京都区部(23区)における住宅地で、いわゆる『上昇・横ばい・ほぼ横ばい(変動率>▲1%)』地点が全調査地点の79%に達しました(図表2-「東京都区部・計」・H17:上昇13%+横ばい26%+ほぼ横ばい40%)。H15年23%、H16年には40%と急速に上昇、今回調査ではさらに上昇し、下げ止まり感がより鮮明になりました。そのうち、千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京、台東、豊島の計8区からなる区部都心部では、H15年62%→H16年78%→H17年94%、品川、目黒、大田、世田谷、中野、杉並、練馬の計7区からなる区部南西部では、H15年21%→H16年48%→H17年94%と、今回調査で双方とも9割を超える結果となりました。また、千代田、中央、港、文京、台東、渋谷の6区では、すべての調査地点で上昇または横ばいになるなど、結果、東京都区部・23区中10区で平均地価が値上がりに転じました。都心回帰による住宅需要の増加をベースに、マンション建設など大型再開発が進んだことによって、都市としての魅力がより高まった結果だと思われます。
| 図表2:東京都区部における『上昇・横ばい・ほぼ横ばい』の地点数(継続地点数に占める割合)東京都区部・計(左) 区部都心部(右) |
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| 区部南西部(左) 区部北西部(右) |
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出所:国土交通省
※区部北東部・・・墨田、江東、北、荒川、板橋、足立、葛飾、江戸川の計8区
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(全国の商業地値上がり率ベスト10で名古屋が上位を独占) H16年はすべて東京が占めた商業地(地点)値上がり率ベスト10を、今回は1位から7位まで名古屋が占めました。自動車やハイテク産業を牽引役とした地域経済が好調なことが、東京を上回る上昇率の地点出現につながりました。そのうち7地点、1位から4位までの上位を独占した名駅地区(中村区・JR名古屋駅前)は、大型インテリジェントビルの竣工と開発が目白押しで、名古屋のオフィス集積地としての魅力を一気に高めました。中部国際空港の開業によって海外への窓口が広がったことからも、大手製造業などが本社機能や営業拠点をこの地にシフトする動きが強まっています。
(大阪圏で上昇地点が出現) H16年には上昇地点がゼロだった大阪圏で、住宅地は神戸市で7年ぶり、商業地は大阪市と京都市で14年ぶりに上昇地点が現れました。住宅地では、大阪・神戸・京都の市中心部や隣接するエリアなどで、東京と同様、都心回帰による住宅需要の増加がみられました。なかでも大阪と神戸の両都市に近く、住環境の評価が高い阪神地区は、神戸市東灘区・灘区、西宮市の18地点で上昇に転じました。商業地では、大型商業施設の集積が進む西梅田など大阪駅周辺、心斎橋(大阪市中央区)、京都市中京区・下京区などで上昇地点が現れました。
(三大都市圏以外でも下げ止まる動きが強まる) 三大都市圏以外では、札幌市や福岡市などで下げ止まり傾向が強まった地区・地点が増え、さらにプロ野球楽天効果でJR仙台駅東口の下げ止まり感が鮮明な仙台市など、変化の兆しが各方面でみえてきました。
■上昇・横ばいを示した地点にみられる共通要因
H17年地価公示では、地価が上昇や横ばいに転じた地点、さらに上昇率拡大、下落率縮小、もしくは下落率拡大の地点など、全国31,230地点でさまざまな表情がみられました。まず、住宅地・商業地を問わず、鉄道整備が進んだもしくは整備計画によって利便性向上が期待できる地点で、地価はより上向きを示しました。首都圏方面では、昨年2月に横浜市に開業した「地下鉄みなとみらい線」沿線の元町地区、今年8月開業予定の「つくばエクスプレス」で都心との時間が一気に縮まる茨城県つくば市、途中新駅が誕生する埼玉県八潮市・三郷市、名古屋圏では、
相次いで開業した地下鉄やリニモ(東部丘陵線)沿線の各新駅周辺、福岡市では、九州新幹線の博多乗り入れを期待した市中心部など、上昇や横ばい、下落率縮小に転じた地点が数多く見受けられました。住宅地で地価が上向いた要因を拾ってみますと、三大都市圏では都市の中心部から電車で20分程度まで、その他の都市では核となる鉄道ターミナル周辺など、とかく"利便性"が優れていることが目立ちます。商業地では、"再開発"で大型商業施設が開業し集客を高めた地点で地価の上向きが目立ちました。また、REIT(不動産投資信託)などのファンドによる不動産購入の動きなども、地価にプラスの影響を与えました。
■下げ止まる動きは、今後他の地方都市へと波及することを期待
一方、地方都市のなかには、市中心部から離れたベッドタウンなどの住宅地、郊外に大型ショッピングセンターが開業し顧客が流出している中心市街地といった商業地で下落率が拡大した例が多く見受けられました。しかしながら、なかには、観光客の増加によって沖縄県那覇市の商業地が昨年に続き下落幅が縮小、リゾートの不振が目立つ長野県の中心・長野市の商業地で、旧そごう跡地の再開発が始まった効果により下落幅がH16年▲13.3%→H17年▲7.7%と大幅に縮まる例もありました。また、今回で商業地が4年連続2ケタの下落となった富山市では、旧市街に今年4月に商業ビル「CUBY(キュービー)」、来秋には百貨店「大和」を核とするビルを開業予定で、さらに路面電車を延伸する計画があるなど、自治体や商店街が一体となって中心街復権を目指しています。都市と地方の二極化を懸念する声がよく聞かれますが、各地における地元の努力が地盤沈下を防ぐ結果につながり、地価下落にブレーキがかかる可能性があります。
また、不動産投資市場が、従来までの限られた大都市以外にも広がっています。4月に政令指定都市になる静岡市では、中心に位置する商業地にファンド資本が入ったと地元メディアが伝えるなど、今後も、不動産投資のすそ野が地方都市へと広がっていくことが期待できます。このように、東京圏を皮切りに、下げ止まりや上昇地点が増え、地価の下落率が縮小に向かう動きは全国主要都市へ着実に波及しています(図表3)。加えて、今は一部地点が上方に引っ張っている印象の平均地価ですが、今後は全体的な底上げによる下げ止まり、反転へと徐々に形を変えていくと思われます。H17年地価公示は、こうした期待を示唆する内容だったと評価しております。
図表3:圏域・都市別の地価変動率(東京・大阪) |
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| 圏域・都市別の地価変動率(名古屋・札幌) |
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| 圏域・都市別の地価変動率(仙台・静岡) |
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| 圏域・都市別の地価変動率(岡山・広島) |
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| 圏域・都市別の地価変動率(福岡) |
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| 出所:国土交通省 |
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