『国土交通白書2005』-中古住宅市場に関する記述
先月、国土交通省から『国土交通白書2005(平成16年度年次報告)』が発刊されました。白書は、その年度のトピックスと(総合的な)国土交通行政の動向の2部で構成されています。国土交通白書2005では、冒頭部分で、昨年発生した国内外の自然災害への対応、さらにその次の第Ⅰ部で、経済発展を遂げている東アジア諸国とのかかわりの2項目をトピックスで取り上げました。それでは、続く第Ⅱ部の国土交通行政の動向ではどのような記述がなされているのでしょうか。特に、私どもが深く関わる中古住宅市場について書かれている箇所を探ってまいりたいと思います。
■中古住宅にかかる税制-特例措置における対象範囲の拡大
中古住宅市場については、「第Ⅱ部-第4章 自立した個人の生き生きとした暮らしの実現-第2節 豊かな居住の実現(P.122~)」に記述されています。住宅ストックを質的に充足させながら、欧米に比べて全住宅取引に占める割合が極端に低い中古住宅の取引量を増やしていくこと、その住宅の質の向上のためには、既存住宅の性能表示制度や瑕疵保証制度、価格査定システムの普及、不動産市況情報の提供などによって、中古住宅の質・価格の透明性を確保していくことが重要だと説かれています。この記述はここ数年続いたものですが、国土交通白書2005では、新たに証券化と税制での支援による具体策が加えられました。証券化では、住宅金融公庫の新しい住宅ローン商品『フラット35』の対象に中古住宅が追加されたこと(平成16年10月)が挙げられます。税制では、平成17年度税制改正で、下記5項目の特例措置について、築後経過年数に関する要件(非耐火住宅:築20年以内、耐火住宅:築25年以内)にかかわらず対象に加えるという優遇措置により、中古住宅流通の活性化を図ったことが述べられています(Vol.5『中古住宅流通業界には「減税」メリット-来年度税制改正(2004/12/24)』参照)。
1) 住宅ローン減税
2) 特定の居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税
3) 住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度
4) 住宅用家屋の所有権の移転登記等に係る登録免許税
5) 取得に係る中古住宅・中古住宅用土地に対する不動産取得税
■資産デフレを克服するためにも中古住宅取引を促進することが必要で、ここでも税制で支援する方針
また、「第Ⅱ部-第5章 競争力ある経済社会の構築-第5節 産業の再生・活性化-2.不動産業の動向と施策(P.176~)」では、「不動産市場の活性化」という新たなパラグラフが設けられ、インターネットの活用、不動産証券化の一層の推進に加えて、税制の活用による土地・住宅市場の再活性化が取り上げられました。特筆されるのは、資産デフレを克服するためにも中古住宅取引を促すことが必要で、新築・中古を問わない条件で税制を支援すべきであるということです。さらに当パラグラフの結びには、古い住宅でも良質なものは市場での流通が拡大していることを背景に、国民がゆとりある住宅を無理のない負担で取得できることを期待する、と記述されています。中古住宅取引の活性化につながる政策発動を期待させる内容だと感じております。
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