不動産コラム
不動産コラム一覧







Vol.15
 

地方の分譲マンションと貸家が牽引役に-H16年度・住宅着工動向

■H16年度の着工数は119万戸で増勢傾向
国土交通省による「住宅着工統計」によりますと、平成16年度の住宅着工戸数(全国計)は119万戸、前年度に比べて約2万戸の増加となりました(比率では+1.7%、図表1・左)。住宅着工戸数は、10年度以降115万戸から120万戸台前半とほぼ横ばい圏での推移のなかで、15、16年度は景気が回復に向かったことなどから増勢傾向を示しました。15、16年度を"利用関係別"にみてみますと、15年度に住宅ローン減税控除額の引き下げが翌年度から実施されるにともなう駆け込み需要が多くみられた「持家」が、15年度前年比・増加 → 16年度同・減少になったほかは、「貸家」と「分譲」が15、16年度ともに連続して増加を示しました(図表1・右)。さらに分譲をマンションと建売戸建に分けてみてみますと、双方ともに15、16年度とも好調な増加となりました。

図表1:住宅着工戸数の推移(全国・総合計)
出所:国土交通省「住宅着工統計」


■首都圏は東京都・マンションの大幅減でマイナスに
次に、15、16年度を"地域別"でみてみます。首都圏(1都3県・計)は、前年比▲0.9%・▲3,662戸と減少を示したのに対して、近畿圏(2府4県・計)は、同+1.6%・+2,911戸、首都圏と近畿圏を除く地域を合わせたベース(二大都市圏を除くその他地域 / 地方)では、同+3.5%・+20,140戸となりました(図表2・上段)。首都圏がマイナスに転じた主因は、東京都が同▲8.7%・▲17,460戸、そのうち分譲・マンションが▲14,845戸と大幅減を示したことによるものです。東京都における分譲・マンションは、購入客の都心回帰の動きのなかで、着工戸数は増加基調を辿ってきましたが、都内なかでも都心部のマンション用地の価格上昇、さらには適地が不足気味になってきたことで、16年度は、隣県の埼玉・千葉・神奈川へとフィールドがシフトし、着工減を余儀なくされました。一方、埼玉・千葉・神奈川の3県を合わせたベースでは、分譲・マンションが+9,383戸、分譲・建売戸建が+6,127戸と、東京都の分譲・マンションの減少分をカバーした格好になりました。            

■地方は地域経済の復調や「街なか居住」の進展によって分譲・マンションと貸家が伸長
二大都市圏を除くその他地域の住宅着工戸数は、5年ぶり増加に転じるなど首都圏とは異なる動きを示しました(図表2・上段右)。これらのうち、16年度の着工戸数の伸びが10%以上のプラスを示した道県は、鳥取県、島根県、広島県、香川県、福岡県、佐賀県、大分県、鹿児島県で、相対的に地域経済の回復度合いが高い中国地方、九州地方に集中、例えば、広島県は、自動車のマツダや鉄鋼といった県の地場産業が復活、福岡県は、中国をはじめとするアジア経済好調の恩恵を受け、近隣の県を含めて景気が着実な回復基調を辿りました。さらに、これら県を利用関係別にみますと、ほぼ共通して分譲・マンションと貸家の大幅増が目立ちます。ところで、実は今、特に県庁所在地など人口が集まっている市部を中心に、地方都市ではちょっとしたマンションブームが起こっています。例えば、島根県では、松江市や出雲市で、分譲や賃貸(貸家)を問わず、ターミナル駅周辺や中心市街地の一角などでマンション建設が数多くみられ、県全体の着工戸数の大幅な伸びにつながりました(図表2・中段右)。首都圏や近畿圏における都心回帰の動きとほぼ同様、市街地から離れた場所にある戸建(郊外の団地など)から、利便性を求めてこれらのマンションへ住替える動きが活発になっていることが背景にあります。最近のこうした地方都市における動きは『街なか居住』と呼ばれ、活力低下や衰退に悩んでいる市街地の再活性化にも一役買っています。また、貸家の伸びは、企業の工場進出や拡張などにより、その近隣エリアで貸家需要が増加していることが背景にあります。例えば、大分県では、ダイハツ工業が中津市に工場進出を図り、従業員用の貸家需要が急増、着工増へとつながりました(図表2・下段右)。このように、16年度は、地方経済が諸所で回復を示し、特に回復度合いの大きい地域における分譲・マンションもしくは貸家の伸びが、住宅着工戸数の増加に寄与したのだと考えることができるのです。

図表2:地域別・都府県別着工数
●首都圏・計(左)●近畿圏・計(中央)●首都圏と近畿圏を除く地方・計(右)
●東京都(左)●大阪府(中央)●島根県(右)
●広島県(左)●福岡県(中央)●大分県(右)

 
最近のバックナンバー
 
関連コンテンツ
 
※このデータは2005年06月02日現在のものです。 [本コンテンツの内容について] [住友不動産販売TOPへ]