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Vol.19
 
中国人民元の切り上げの影響-マクロ経済の見通し

7月21日、中国人民元の通貨切り上げが実施されました。世界経済に与えるインパクトは非常に大きく、中国の高成長に支えられたわが国の景気に対してもさまざまな影響が予想されます。もちろん、めぐり巡ってわが国における人々の住宅購入意欲の動きにもつながるため、元切り上げをきっかけとした今後のマクロ経済のシナリオを探ってみたいと存じます。

■中国が「人民元(通貨)改革」の第一歩を踏み出す
今回の元切り上げの仕組みは、事実上1ドル8.28元に固定(ペッグ)されていた為替レートを、①8.11元に切り上げる(+2.1%)、②通貨バスケットに連動させる、というものです。米国では、安価な中国製品の輸入が増え、割高な米国製品の輸出が伸びにくいといった対中貿易赤字の拡大が続き、購買力平価で測った元の価値はドルに対して15~25%程度割安だといわれていました。こうしたことから中国には、米国をはじめとする他の諸国からも、元の切り上げもしくは変動相場制移行などの要請が向けられていました。さて、元の切り上げによるわが国経済への影響をみる場合、2つのポイントから評価していく必要があると考えます。一つは、切り上げ幅が極めて小幅であること、もう一つは、中国が通貨改革の第一歩を踏み出したという歴史的事実、です。

■短期的な世界経済への影響は極めて軽微
まず、切り上げ幅が2.1%と小幅にとどめたことにより、短期的な世界経済への影響は極めて軽微に抑えることができました。この程度では各国が早急に中国からの輸入を減らすまでには至らず、中国は、自国の通貨高による輸出急減、景気失速を回避したと評価できます。なお、これまでの為替レート維持のための、中国当局による元売り・ドル買い、ドルで米国債購入、という資金の流れは変化しますので、マーケットはドル安、米国の長期金利は(債券安→)上昇に向かうと考えられます。ただ、米国景気は住宅関連などの一部にバブル的な動きもあるため、市場金利の上昇は、現在の米国経済にとってむしろ歓迎すべきことなのかもしれません。中国が自国経済やマーケットへの影響を慎重にみながら、今後も緩やかな通貨改革を実施していく限り、マイナスのサプライズは起こらないものと考えます。

■長期的には中国経済の減速でわが国経済にとってはネガティブだが、今後の他の国へのかかわり方によって影響は縮小
一方、中国は通貨改革の第一歩という"パンドラの箱"を開けてしまいました。今回の切り上げ幅は他の国々にとって満足できるものではなく、当然のことながら、各国は今後も追加の切り上げを中国に迫ることになりますので、元は世界の通貨に対して上昇方向にあると考えることができます。以上から、長期的なシナリオとして、中国経済は少なくともこれまでのような高成長ではなく、減速を織り込んだ成長を見込む必要性が出てまいりました。わが国経済に対する影響は、これまで中国経済の高成長メリットを享受してきた分ネガティブと考えられます。なお、中国へ進出した企業などは、他の国へシフトすることで今後の中国リスクを回避すればよく、企業経営者からはすでにベトナムやインドといった国名が挙がっています。また、中国製品に比べて割高にあった日本製品は国際競争力を取り戻し、国内では中国からの輸入品価格が上昇することでデフレが解消へ向かうメリットも生じるなど、総合的にはニュートラルと受取ることもできます。わが国経済への影響度は、中国経済の減速度合い、さらに中国に対するリスクをどの程度他の国へ分散させるかによって変わっていくのだと思われます。中国当局が、元を緩やかに切り上げていくことで、過熱感ある景気を適度に冷ましながら持続的な成長を辿っていけると、わが国経済にはポジティブです。さらにその間に、ベトナムやインド、もしくは他の新興経済国(※)などへ目を向けて外需の安定化を図っていければベストシナリオかと存じます。

(※)ブラジルやロシアを含む『BRICs』については、Vol.7・8をご参照下さい。                                  



 
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※このデータは2005年07月28日現在のものです。 [本コンテンツの内容について] [住友不動産販売TOPへ]

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