高齢者の住み替えを促す仕組みを探る-少子高齢化による今後の住宅市場③
■住み替えで住宅のミスマッチを解消
Vol.30では、少子高齢化が進むなかで、住宅の「ミスマッチ」が内在していることを指摘させていただきました(1月13日付「年代(年齢層)別でみた世帯構成の変化-少子高齢化による今後の住宅市場②」参照)。親元から独立して新たな家族を増やし、やがては子供が巣立って再び小さな世帯に戻るというライフステージのなかで、米国のように家族構成の変化に応じて気軽に家を住み替え(買替え)、それぞれのステージに合った住宅に住まうことは理想だといえます。ただ、米国には、持家層にメリットをもたらす税制や、買替えを重ねても税負担が重くならないような仕組みが整備されています。わが国にもこうした制度の導入が待たれるところではありますが、ここでは高齢者の住み替えを促すことで、全体が動き出す可能性を探ってみたいと思います。
■「リバースモーゲージ」の利用
「リバースモーゲージ」とは、高齢者が自らの持家に居住しながら、それを担保に老後の生活資金を借り入れ、死亡時に持家を売却することによって借入金を清算するという金融商品です(図表1)。『逆住宅ローン』と呼ばれることもあり、利用者はこれを終身年金のように分けて受け取る方式が一般的で、特に最近、老後の年金不安などの資金手当てとしてニーズが高まっています(図表2)。また、貸し手側にとっても、最近における地価の下げ止まりなどで担保割れリスクが軽減、貸し易くなっています。
| 図表1:リバースモーゲージの基本的スキーム |
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| 図表2:リバースモーゲージの特徴(住宅ローンとの比較) |
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■高齢者住宅への入居費用などにも使えるリバースモーゲージが住み替えを促進
利用者のなかには、生活資金の補填というよりも、毎月の収入をさらに増やしより豊かに暮らしたいといったニーズで融資を受ける例も多く、最近では、生活資金のほかに老人ホームの入居費用などにも使えるような商品が登場しました。住み慣れたわが家にこだわる高齢者でも健常であれば問題はないのですが、仮に介護が必要な状態になった場合などで、目の前にさまざまな選択肢があることは重要なことです。さて、高齢者が老人ホームなどの高齢者住宅等へ移る場合、空き家になった住宅に、狭い借家住まいを余儀なくされている若年ファミリー世帯が賃貸できれば、住宅のミスマッチ解消につながります。この場合、リバースモーゲージのレンダー(貸し手)が仲介などのアレンジメントを担い、単純な賃貸スキームよりもマッチング効果が上がるメリットも生じます。このように、老後の生活資金に限定しないリバースモーゲージの拡充が高齢者の住み替えを可能にし、持家の受け皿として若年ファミリーの賃貸も促され、住み替え全体の活性化につながると考えます。なお、リバースモーゲージのスキームのなかで、利用者が最期を迎えた後の持家の活用方法に議論の余地があります。この場合、賃貸にとどまらず、中古住宅の流通マーケットも重要なフィールドとなり、同様に住み替えを促すきっかけとして期待が持てそうです。
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