第三段階 ご近所の選び方
典型的なご近所は4タイプ
ご近所とは、最終的に自分が住むと想定する場所を中心に徒歩5分から10分圏内の地
域としておきます。自宅と最寄り駅周辺くらいの範囲です。ご近所の定義は、特に決まったものがあるわけではないのですが、住宅の住み心地を決める範囲を私なりの経験で割り出してみると、だいたいこんなところだろうと考えるわけです。
ところで住居内の住み心地がなぜご近所で決まってしまうのかを理解していただくために、ちょっと専門的なことを説明させてください。
自分が住むと想定する場所から5分以内の地域の住み心地の特色を知るためには、その地域にかけられている都市計画法に基づく用途地域と建築基準法を見ていくのが一番わかりやすいのです。
用途地域とはその地域に建てられる建物と建てられない建物を規制した法律です。
たとえば第一種住居専用地域に指定されたご近所では、建物の用途は原則として住宅に限られます。住宅以外に建てられるのは医院くらいです。その分閑静な住宅地としての環境が保全されているのです。このようにこの法律がご近所の性格を決定する力を持っていることになります。
また、用途地域に対応して細かな建築上の規制が建築基準法という法律で規制されています。広い敷地にかなりゆとりを持たせてしか建物を建ててはいけないとか、10メートル以上の建物は建てられないとか住宅の形態を決定する力を持っているのです。
どの地域にもあらかじめこうした規制がかけられており、その既成のもとに開発が行われた結果、一定の住環境が成立してしまっているというわけです。したがってあなたがご近所を選べば有無を言わさずお約束の住環境がついてきてしまうのです。気軽にここ、とご近所を選んでも、必ずしもあなたが望む住環境や住宅が得られるとは限らないという現実があることをまず知っておいていただきたいと思います。
さて、具体的にどんなご近所を選ぶかですが、分かりやすくするために、性格が大きく異なるご近所をタイプ分類してみました。どのタイプを選ぶかで住居内の住み心地は大きく変わってしまいます。典型的なご近所のタイプを歴史の古い順に4つご紹介します。
番町、麹町、南麻布などのように現在は高級なマンションと一戸建ての邸宅が混在する元お屋敷町タイプ、谷根千、麻布十番のように老舗の商店街が人気の下町タイプ、田園調布や成城に代表される閑静な低層住宅地タイプ(成城などに似せて価格を安くした郊外のニュータウンタイプ)、豊洲のように多数のマンションが林立する未来志向型マンションタウンタイプがご近所の典型といえるでしょう。
こうした典型的なご近所と、先ほどご説明した用途地域との関係は以下の表のとおりです。ご近所のタイプとその性格が整理できたところで、次のステップ、あなたに相応しいご近所を絞りこむことにしましょう。ご近所を絞りこむプロセスはまず、ライフステージで絞込み次にライフスタイルで更に絞り込むという手順ですが、今回は特に重要なライフステージによる絞込みについてご紹介したいと思います。

ライフステージによって相応しいご近所は異なる
4つの典型的なご近所タイプとライフステージとの関係を下の表にまとめてみました。
社会人シングルと将来子供を持つ予定のない共働きカップルには下町・商店街タイプと未来志向型マンションタイプが適しています。下町・商店街タイプは少々騒音や日当たりが思うようにはいかないケースも予想されますが、代わりに暮らしの便利さや楽しさを大いに享受できるご近所といえます。また超高層マンションに代表される未来志向型マンションタウンタイプは現在の最先端工法が採用されていたり、共有施設も充実の傾向にあります。眼下に見下ろす夜景はかつて見たSF映画さながらで、明日のマンションライフを先取りする刺激的な要素が盛りだくさんです。通風とか採光とか自然とかとはまるっきり正反対の快適にコントロールされた高機能な暮らしが体現できるというわけです。
子育てファミリーは一転して、子育てに良い住環境を重視します。なんといっても日当たりが最優先。太陽の光が燦燦とふりそそぐ広いリビングで子どもたちを遊ばせながら、ご近所のママ友とティーパーティを楽しむ、というのが主婦の望む暮らし像です。そしてその理想をかなえることができるご近所は、元お屋敷タイプ、閑静な低層住宅地タイプです。敷地はある一定の広さに保たれ、建物が敷地ギリギリに建たない、また高さの制限もあることで、隣家との間隔にゆとりがあり、通風、採光が阻害されないようになっています。また、周辺には騒音を出す施設も建たないため、閑静な暮らしが約束されています。子育てにはとても良い住環境が得られますが、この2つのタイプはいずれも地価が高い地域に存在していることが多く、一般的には高嶺の花のご近所といえます。そこで、こうしたご近所タイプをお手本にして郊外に、買いやすい価格の子育てファミリー向けのニュータウンが造られています。このご近所も対象の1つに加えておくと選択肢が広がります。
ところで脱子育てカップルは、夫の定年により、仕事という義務がなくなります。子供が独立することで、妻は子育てから解放されます。したがってこのカップルは何の制約もなく、自由にかつ好みに応じてどんなご近所でも選び放題ということがいえます。

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