子育てファミリーに向くマンション(前編)
1.お父さんの通勤路線は犠牲になりがち
子育てファミリーは子供優先の住宅選びになるため、夫の通勤路線選択や通勤時間は犠牲になりがちです。
乗車時間45分、ドアツードアで60分といったところがお父さんの頑張りどころで、90分はもう限界といえるでしょう。万一の転勤の際、自宅を売却しようにも都心部から遠くなればなるほど売却価格は低くなり、かつ買い手も少なくなってしまいます。また子育てを終え、二人にもどった50代の夫婦にとっては、子育て環境こそは良かったけれど、定年後も住み続けるには不便なところで、できれば便利な都心に住み替えたいと妻がしきりに訴えるようになるケースも多いようです。子育て後の二人の新たなライフステージのことも視野に入れて絞り込むならドアツードアで60分が目安といえるでしょう。
1980年代は団塊世代が一戸建ての夢を実現するために、片道2時間の過酷な通勤に耐え午前5時半に自宅を出て帰宅は午前零時過ぎという生活を続けてきました。平日は不在、休日は疲れきってごろ寝する父親に、「もっと近いところのマンションに住めば良いのに」と不満を募らせる団塊ジュニアは多かったようです。一方、家族のためにと長時間通勤で頑張ってきた父親は、長年の過労のツケが定年間近になって一気に噴出したという人も少なくありません。いかに子育て優先とはいえ、我慢のツケはあとになって必ずまわってきます。通勤時間は60分が目安です。
2.街を選ぶなら中間型か郊外型
通勤路線の候補が決まったら、その線上に相応しい街を探すことになります。家族のつながりを大事にしつつ、地元の人との交流や、子供を中心としたスポーツ活動へも積極的に参加したいという子育てファミリーが重視するのは、子供が伸び伸び育つ自然・教育環境の良いエリアです。また、最近は安全・安心な環境を重視する傾向が強くなっています。そうした点で、前回のコラムで紹介した共働きカップルにお勧めの中間型の街を子育てファミリーにもお勧めしたいと思います。具体的なエリア名は前回のコラムをご確認ください。また、郊外型も子育てファミリーに適した街のタイプですが、どうしても夫の通勤時間が長くなってしまいます。夫の犠牲の上に成り立つ家族の幸福といった感は否めません。また選ぶ街によっては築後10年の住宅価格下落率が高く、売る場合は購入価格を相当下回り、かつ買い手が少なく売れるまでに時間がかかります。住むなら永住の覚悟が必要です。選ぶとしたら武蔵野(武蔵野・小金井・三鷹、調布、狛江市)、多摩東(小平・国分寺・国立・府中)、東京西部沿線(清瀬・東村山・東久留米・西東京市)横浜西・南(旭・瀬谷・保土ヶ谷・戸塚・港南・磯子区等)、田都・東横沿線(高津・宮前・青葉・都筑・港北・緑区)、埼玉中央南(さいたま・蕨市・川口・鳩ヶ谷・戸田・岩槻市)、埼玉東上沿線(志木・朝霞・和光・新座市等)千葉北西(松戸・柏・流山・我孫子市等)などでしょうか。これらの街に住むファミリーは一様に、自然環境の良さ、教育環境の良さ、地元との交流等子育てしやすい住環境であることを高く評価しています。郊外型の街は住めば都であることは間違いなさそうです。

3.都会で個性的な子育てを志向するライフスタイルなら都心型
ファミリーのライフスタイルは一番下の子供(以下末子)が就学中かそうでないかで異なってきます。末子が未就学の場合の典型的なライフスタイルは、2タイプあります。
1つ目は「夫婦も実家も子供に夢中なイマドキ家族団らん」型(子育てや家事に夫が参加するのは当たり前で家族が個室にこもるような生活は好まないタイプ)。このファミリーは、幼稚園、小学校が近くて教育環境が良く、子供が交通事故にあいにくい安全な街を中間型の武蔵野、田都・東横沿線、城西、城北、城東、横浜西・南、埼玉中央、千葉西、千葉市の中から選ぶのが妥当でしょう。
2つ目は「ママ&パパとの交流が楽しい子育てハリキリ」型(父親は子供が所属する地域のスポーツクラブのコーチを勤め、母親もバックアップ。子供の友人親子や地域の人たちとの積極的な交流を求めるタイプ)。このファミリーは教育環境、安全性の高いエリアの中から、相応しい街を選ぶことになります。具体的には郊外型の東京西部沿線、多摩東、多摩ニュータウン、多摩西、神奈川県央・町田、埼玉東、埼玉中央北、埼玉西、千葉県央、千葉北西エリアの中から自分に相応しいと思われる街を選ぶのが良いでしょう。
末子が就学中の場合のライフスタイルは、日本人の暮らし観の典型ともいえる「家族の幸せが一番大事!とことん家族サービス型」(休日は家族でドライブするなど、家族の関係を大切にし快適で安心、健康な暮らしを指向するタイプ)。このファミリーは、中間型の城西、武蔵野、横浜西、埼玉中央南、千葉市、千葉西といったエリアの中から、治安が良い、アクセスが良く日常の買い物が便利、高い建物が少ない低層住居専用地域などの条件で街を絞り込むのが良いでしょう。
さて、少数派ではありますが、都会で子育てをしたいブランド志向ファミリーには、多くのファミリーとは異なる都心型の街をお勧めします。都心型の街の代表は都心3区(千代田・中央・港区)、都心山の手(文京・新宿・渋谷)です。これらの街には伝統的な公立・私立の小・中・高校が多く、教育環境も整っています。古くからの商店街が残っているところも多く、日常生活も便利な街が結構あります。ただし、住宅価格はそれなりに高くなってしまいます。
子供を抱えるファミリーは、当然といえば当然ですが、どうしても子供を中心としたライフスタイルになりがちです。シングルや共働きカップル、脱子育てカップルに比べ、街選びに際して、子育てという制約は避けられないことのようです。

後編を読む
|